クランク周りについて

クランク周りはペダルを取り付けチェーンを巻いて後輪に動力を伝える重要なパーツで構成されている。
中でもクランクにBB(ボトムブラケット)やチェーンリングを組み付ける為には各々の規格を合わせる必要があり、
この足周りのパーツの組み合わせやコンディションでピストバイクの乗り味が大きく左右されるので慎重に選ぶ必要がある。
また、クランク周りに関するサイズ規格は年代(時代的背景)やメーカーにより細分化しており煩雑を極めているので、ここではピストバイクに必要な規格だけを掘り下げてお届けする。
クランク
クランクにはMTBやBMXそしてロードバイクなどのカテゴリーをはじめ、メジャーブランドであるシマノ社やカンパニョーロ社などのメーカーも交えると長さや周径に幾つかの規格が存在するが、
幸いなことにピストバイクでの使用を前提とするとそれほど多くは無く注目すべきは主に①
クランク長と②
PCDの2点。
① クランク長

クランクの中心からペダル軸の中心までの長さを「クランク長」という。
ロードバイクやTTバイク(トライアスロンやタイムトライアルで使用するバイク)の場合は175mm以上も使用されるが、
ピストバイクで主に使用されるのは短めの
165mmと
170mmの2種類である。
170mmの方がリーチが長いので軽い力で速度が出るが、街乗り前提のピストバイクの場合はカーブで地面に擦る、または前輪に引っかかる確率が高くなるので、はじめのうちは165mmを選択することをオススメする。
蛇足としてMTBやBMX、ロードバイク・クロスバイクなどに使用するクランクを含めると165mm/167.5mm/170mm/172.5mm/175mm/177.5mm/180mmの7サイズが存在し、本格的なレースシーンに於いてはこの5mm差で長距離か短距離か、また追い込みか逃げ切りか等セッティングのキメにもなる。
② PCD(Pitch Circle Diameter)

PCDはピッチ円直径ともいい、クランクとチェーンリングを固定するボルト中央間を結んで円を描いた直径を指す。
ピストバイクで主に使用されるのは
144mmと
130mmの2種類。
130mmのクランクにするとクランクのアームも短くなるのでスッキリとまとまった印象になるが、チェーンリングが144mmに適合するもの方が多く選択の幅も広がるので、はじめのうちはPCDは144mmを選択することをオススメする。
③ ボルトピッチ(Bolt Pitch)

クランクとチェーンリングを固定するボルト穴の中央間の距離を指す。
クランクのサイズは上記の「クランク長」と「PCD」だけで計れるので表記している商品もほとんど無いのだが、参考迄にボルトピッチを算出してみると PCD144mm = ボルトピッチ84.6mm / PCD130mm = ボルトピッチ76.4mm となる。
④ クランクアーム(スパイダーアーム)

放射状に付き出したチェーンリングをつなぐ棒を指す。ピストバイクで主に使用されるのは5本アーム。
※1958年までは3本アームが主流だったが、剛性の問題からカンパニョーロ社が[Record](1型レコード)で5本アームを創り出し以後各メーカーを巻き込んで定着した。
チェーンリング(ギア板)
ロードバイクなどの多段ギアで3枚チェーンリングがある場合は外側をアウター、真ん中をセンター、内側をインナーというが、ピストバイクではチェーンリングが一枚しかない為、必然的にアウターとなる。
チェーンリングには歯数(T)という踏み出しの重さや漕ぎ味を調整するに必要な数値があり、公道でピストバイクを乗る場合は歯数44T〜50Tの範囲が主流。
チェーンリングは先に述べた
①PCDの数値と後述する
②歯数、そして
③厚歯であることの3つの観点から選択することになる。
特に歯数の選択によって漕ぎ味(走り出しの軽さ、スピードのノリ)がガラリと変わってくるので、トリックや街乗りをメインにする場合は歯数は低く、長距離をこなす場合は歯数を高くすることが選択が重要なポイント。
① PCDの数値
クランクを固定するボルト(穴)中心を結んで円を描いた直径を指し、考え方はクランクのPCDと全く同じである。
チェーンリングの取り付けの際にはクランクのPCDと合わせる必要があるので必然的に
チェーンリングのPCDも130mmと144mmが基本となる。
② 歯数(ターン数)
歯数はターン数(T)という数値で表す。
ピストバイクを公道で乗る場合の歯数は
44T〜50Tの範囲が基本で、
具体的な目安としてはトリックと街乗りを目的とする場合は44T〜46T、片道10Km以上の長距離の場合は46T〜50Tである。
※競輪などの競技目的で使用する場合はスピードを目的とする観点から50T以上のチェーンリングを使用している。
③ 厚歯、薄歯
チェーンリングの厚さには薄歯と厚歯の2種類がある。
薄歯は主に多段ギアで使用するものなので、ピストバイクでは基本的に
厚歯を使用する。
薄歯でも使用することは可能なのだが、ピストバイクの場合はロードバイクに比べてギアにかかる力が大きくなる為、厚めの頑丈なものを使う傾向がある。
PDCの種類
| PCD |
アーム数 |
用途、カテゴリー |
| 151mm |
5アーム |
古いピストバイク、現在では採用されて居ないが中古市場では存在する。 |
| 144mm |
5アーム |
ピストバイク、ロードバイク用の規格。シマノ、スギノなどが採用している。 |
| 135mm |
5アーム |
ロードバイク用の規格。カンパニョーロなどが採用している。 |
| 130mm |
5アーム |
ピストバイク、ロードバイク用の規格。シマノ、スギノなどが採用している。 |
| 110mm |
5アーム |
ロードバイク用の規格。コンパクトとも呼ばれる。元来MTBの規格だったが、3枚歯が出てきてからはロードバイクにも使用されるようになった。 |
| 104mm |
4アーム |
MTBでは現在最も主流な規格。
|
| その他 |
4アーム |
146/112/102/94/64 etc が存在しているが、現在は使用されていない。 ※ビンテージ品を購入する際には注意が必要。 |
コグ(小ギア)

後輪の右側に付けるギアをコグ(小ギア)という。
コグにも歯数があり、街乗りのピストバイクで使用するのは16T〜18Tになる。
コグの歯数はチェーンリングの歯数よりも動きの幅が大きい為、チェーンリングの1T差よりも大きく変わる。
この数値が小さくなる程、漕ぎ味が重くなりスピードも速くなるので競技目的の場合は主に12T〜15Tが使用されている。
BB(ボトムブラケット)
フレームとクランクをつなぐパーツがBBの役目である。ピストバイクで使用するBBには四角テーパー(軸の両端が四角い形状のもの)で比較的新型の①
シールドカートリッジタイプと昔ながらの②
カップ&コーンタイプがある。
クランクとの関係は歴史上メーカー間で多少複雑で、グレードや製造年によっても装着出来ないことがある。例えばシマノ社製のBBにカンパニョーロ社製のクランクは付かない(合わない)。
① シールドカートリッジタイプ

ベアリングや軸が一体化されており、初心者にも扱い易い構造になっている。
本体や取り付け工具の価格も比較的安価なので、初めはカートリッジタイプをオススメする。
② カップ&コーンタイプ(3ピースタイプ)

カップ&コーンタイプはBBの各パーツが全てがむき出しになっており、細部まで分解してメンテナンスする事が可能になっている反面、扱いがデリケートになる。
カートリッジタイプに比べ調整幅が大きい為、競技ではこのタイプが使用されるが、工具も比較的高価になりグリスアップなどのメンテナンスも要すなどの観点から、ピストバイクの基礎知識を得てから使用する方が無難。
チェーン

チェーンはクランクと後輪をつなぐ、タスキ役となるパーツ。
チェーンにはピッチ、内幅、外幅の3つ要素があり、厚歯用、薄歯用が存在するが、ピストバイクの場合はシビアに考える必要がない為、無条件に
1x2"x1/8"という表記のチェーンを選ぶようにすればよい。